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コラム

遺言家族信託 2021/06/19

家族信託と遺言はどちらが優先されるの?

家族信託と遺言の関係

家族信託と遺言の優先関係

同じ財産を対象とする部分については、家族信託と遺言はどちらが優先されるのでしょうか?
結論から申し上げると、家族信託が優先します。
以下、遺言書を作成した後に、家族信託契約を締結した場合と 家族信託契約を締結した後に、遺言書を作成した場合に分けて解説いたします。

遺言書を作成した後に、家族信託契約を締結した場合

この場合、同じ財産を対象とする部分について、家族信託が優先します。

遺言書を作成した後に、内容を変更したくなったり、遺言の全部を取り消したいと思い直すことも十分ありえます。

遺言書に抵触する行為をした場合は、その抵触した部分は撤回したものとみなされます(民法1023条2項)。

民法第1023条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

 

遺言書を作成した後に、家族信託契約を締結した場合は、遺言書に抵触する部分について家族信託契約が優先します。

【具体例】
「A不動産を長男に相続させる」とする遺言を書いたとします。
後日、A不動産を信託し、A不動産の帰属権利者を次男としました。
※帰属権利者とは、信託が終了したあと、最終的に信託財産を取得する者のことをいいます。

この場合、「A不動産を長男に相続させる」とした部分が撤回されたものとみなされ、A不動産は遺言の対象財産から外れます。

家族信託契約を締結した後に、遺言書を作成した場合

この場合も、同じ財産を対象とする部分について、家族信託が優先します。

家族信託契約を締結し、その効力が発生すると、信託した財産は「信託財産」となります。
信託財産は本人固有の財産から抜け出し、受託者の名義となりますが、受託者固有の財産でもなく、いわば「誰のものでもない財産」となります。
信託した時点で本人固有の財産でない以上、その後に遺言を作成したとしても、信託した財産について効力は及びません。

【具体例】
「委託者甲が受託者乙に対して、A不動産を信託し、帰属権利者を丙」とする家族信託契約をしたとします。
後日、「A不動産を丁に相続させる」旨の遺言書を作成しました。

この場合、家族信託契約をした時点で、A不動産は信託財産となっているため甲の財産ではなくなっています。
既に自分の財産ではなくなっているため、遺言の対象財産とすることもできなくなるのです。

家族信託と遺言の作成をセットで検討すべき3つの理由

家族信託と遺言はセットで利用される方が望ましいケースが多々あります。
その理由としては以下の3つが挙げられます。

【理由①:家族信託は全財産を対象にすることはできないから】
家族信託は財産の一部に限定をして財産の管理や承継について定めるものであり、漏れた部分に対しては遺言をもってカバーせざるを得ないからです。
遺言書を作成していなければ、相続人全員で遺産分割協議をすることになります。
家族間で争いが起きる可能性が全くなければ遺言書を作成する必要はありませんが、そうでない場合は遺言書の作成を検討しなければなりません。

【理由②:遺言にしかできないことがあるから】
例えば、認知、廃除またはその取消、未成年後見人または後見監督人の指定が挙げられます。
認知とは、婚外子に対して法律上の親子関係を生じさせることをいいます。
廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはその他の著しい非行が相続人にあったときに、相続人の地位を奪うことをいいます。
また、相続人の中に未成年者がいて、親権者がいない場合は、遺言によって後見人や後見監督人を指定することができます。

その他、遺言でできることについて詳しく知りたい方はこちら
遺言でできること、できないこと

【理由③:家族信託は生前に終了する可能性があるから】
信託の終了事由は、信託法(信託法第163条~)によって定められています。
例えば、「受託者が死亡などの理由で不在となり、新たな受託者が就任されないまま1年間継続したとき」、「信託の目的が達成できなくなったとき」、「当事者の合意によって終了させたとき」、などがあります。
家族信託を始めたときは、親が死亡するまで続けるつもりであっても、事情が変わって途中で信託を終了するに至る場合もあります。
したがって、家族信託が途中で終了する場合に備えて、別途遺言を作成しておくことも検討すべきといえます。

 

 

 

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