登記原因証明情報のひな形 売買・贈与による所有権移転
目次
登記原因証明情報とは
登記原因証明情報は、不動産登記の申請手続きをする際に必要になる添付書類の1つです。
不動産登記の役割は、不動産についての権利変動の過程を公⽰する点にあります。
※公示とは、一定の事柄を周知させるため、一般の人が知ることのできる状態に置くことをいいます。
権利変動の過程を公示するために、どういう原因で、どのように権利関係が変わったのかを登記に反映させなければなりません。
そのためには、登記申請の段階で、登記所に対して、どういう原因で、どのように権利関係が変わったのかを示す必要があります。
そこで必要になるのが「登記原因証明情報」という書類になります。
売買による所有権移転登記で法務局へ提出する書類
売買による所有権移転登記の申請をする場合、登記申請書以外で法務局に提出する書類は以下のとおりとなります。
【添付書類】
- 登記原因証明情報
- 登記識別情報又は登記済権利証(売主のもの)
- 印鑑証明書(売主の印鑑証明書)
- 住所証明書(買主の住民票)
- 代理権限証書(売主・買主両方の委任状)
- 評価証明書
【登録免許税】
登記申請には、登録免許税という税金がかかります。
売買による所有権移転登記の場合、土地については固定資産税評価額の1000分の15、建物については原則として固定資産税評価額の1000分の20です。
建物については、例外的に一定の要件を満たせば税金の軽減措置を受けることができます。
主な要件は以下のようになります。
- 登記上の家屋の床面積が50平方メートル以上であること。
- 自己の居住の用に供する家屋であること。
- 築年数が、木造及び軽量鉄骨造の場合では20年以内、鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリート造等の場合では25年以内であること。
但し、年数を超えていても、耐震基準適合証明書(又は住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る保険付保証明書)を添付したものについては軽減措置を受けることができます。
【売買】登記原因証明情報のひな形
【甲が乙に不動産を売却したケース】
登 記 原 因 証 明 情 報
1. 登記申請情報の要項
(1) 登記の目的 所有権移転
(2) 登記の原因 令和 年 月 日 売買
(3) 当事者
権利者 乙
義務者 甲
(4) 不動産の表示 後記のとおり
2. 登記の原因となる事実又は法律行為
(1) 甲は、乙に対し、令和 年 月 日、本件不動産を売った。
(2) (1)の売買契約には、本件不動産の所有権は売買代金の支払が完了した時に乙に移転する旨の所有権移転時期に関する特約が付されている。
(3) 乙は、甲に対し、令和 年 月 日、売買代金全額を支払い、甲は、これを受領した。
(4) よって、本件不動産の所有権は、同日、甲から乙に移転した。
令和 年 月 日
東京法務局田無出張所 御中
上記の登記原因のとおり相違ありません。
東京都杉並区高円寺北〇丁目〇番地〇
(買主) 乙 印
東京都清瀬市中清戸〇丁目〇番地〇
(売主) 甲 印
不動産の表示
所在 清瀬市中清戸〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅 地
地積 180・00㎡
所在 清瀬市中清戸〇丁目 〇番地〇
家屋番号 〇番〇
種類 居 宅
構造 木造スレート葺2階建
床面積 1階 55・00㎡
2階 50・00㎡
【売買】登記原因証明情報のひな形のダウンロードはこちら
→登記原因証明情報(売買、Word)
登記原因証明情報(売買、PDF)
【売買】登記原因証明情報の書き方
【登記申請情報の要項】
(1) 登記の目的 所有権移転
(2) 登記の原因 令和 年 月 日 売買
(3) 当事者
権利者 乙
義務者 甲
(4) 不動産の表示 後記のとおり
目的欄
単独で所有権を有している者が贈与する場合は「所有権移転」、
共有者全員が贈与する場合は「共有者全員持分全部移転」とします。
原因欄
決済日(売買代金を支払う日)の日付を入れ、その後に「売買」と書きます。
当事者欄
「権利者」とは買主のことを指します。
「義務者」とは売主のことを指します。
不動産の表示
ここで記載しても間違いではありませんが、通常末尾に記載します。
【登記の原因となる事実又は法律行為】
(1) 甲は、乙に対し、令和 年 月 日、本件不動産を売った。
(2) (1)の売買契約には、本件不動産の所有権は売買代金の支払が完了した時に甲に移転する旨の所有権移転時期に関する特約が付されている。
(3) 乙は、甲に対し、令和 年 月 日、売買代金全額を支払い、甲は、これを受領した。
(4) よって、本件不動産の所有権は、同日、甲から乙に移転した。
登記の原因となる事実を記載していきます。
(1)売買契約をした事実とその日付
(2)所有権移転時期の特約
但し、契約当日に所有権を移転させる場合はこの文言は不要です。
(3)売買代金の支払いをしたこと
(4)所有権が移転したこと
【不動産の表示】
所 在 清瀬市中清戸〇丁目
地 番 ○番○
地 目 宅 地
地 積 ○○・○○㎡
所 在 清瀬市中清戸〇丁目 〇番地〇
家屋番号 ○番○
種 類 居 宅
構 造 木造スレート葺2階建
床 面 積 1階 ○○・○○㎡
2階 ○○・○○㎡
不動産の表示は、不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して、それと同じように記載していきます。
上記の建物は一戸建てを想定していますが、マンションだと以下のような記載となります。
所 在 清瀬市○○町○丁目○
建物の名称 シティタワー清瀬
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 〇町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○
種 類 居 宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 ○階部分 〇〇・〇〇㎡
(敷地権の目的たる土地の表示)
符 号 1
所在及び地番 清瀬市○町○丁目○番○
地 目 宅 地
地 積 〇〇・〇〇㎡
(敷地権の表示)
符 号 1
種 類 所有権
割 合 30万分の7000
贈与による所有権移転登記で法務局へ提出する書類
贈与による所有権移転登記の申請をする場合、登記申請書以外で法務局に提出する書類は以下のとおりとなります。
【添付書類】
- 登記原因証明情報
- 登記識別情報又は登記済権利証(贈与者のもの)
- 印鑑証明書(贈与者の印鑑証明書)
- 住所証明書(受贈者の住民票)
- 代理権限証書(売主・買主両方の委任状)
- 評価証明書
【登録免許税】
登記申請には、登録免許税という税金がかかります。
贈与による所有権移転登記の場合、不動産の固定資産税評価額の1000分の20です。
【贈与】登記原因証明情報のひな形
【甲が乙に対して、不動産を贈与したケース】
登 記 原 因 証 明 情 報
1. 登記申請情報の要項
(1) 登記の目的 所有権移転
(2) 登記の原因 令和〇年〇月〇日 贈与
(3) 当事者
権利者 乙
義務者 甲
(4) 不動産の表示 後記のとおり
2. 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)甲は乙に対し、令和〇年〇月〇日、本件不動産を贈与する意思を表示し、乙はこれを受諾した。
(2)よって、本件不動産の所有権は、同日、甲から乙に移転した。
令和〇年〇月〇日
さいたま地方法務局川口出張所 御中
上記の登記原因のとおり相違ありません。
千葉県木更津市祇園〇丁目〇番地〇
(贈与者) 甲 印
埼玉県草加市谷塚上町〇〇〇〇
(受贈者) 乙 印
不動産の表示
所在 川口市西青木〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅 地
地積 180・00㎡
所在 川口市西青木〇丁目 〇番地〇
家屋番号 〇番〇
種類 居 宅
構造 木造スレート葺2階建
床面積 1階 55・00㎡
2階 50・00㎡
【売買】登記原因証明情報のひな形のダウンロードはこちら
→登記原因証明情報(贈与、Word)
登記原因証明情報(贈与、PDF)
【贈与】登記原因証明情報の書き方
【登記申請情報の要項】
(1) 登記の目的 所有権移転
(2) 登記の原因 令和〇年〇月〇日贈与
(3) 当事者
権利者 乙
義務者 甲
(4) 不動産の表示 後記のとおり
目的欄
単独で所有権を有している者が贈与する場合は「所有権移転」、
共有者全員が贈与する場合は「共有者全員持分全部移転」とします。
原因欄
贈与契約をした日付を入れ、その後に「贈与」と書きます。
当事者欄
「権利者」とはもらう人のことを指します。
「義務者」とはあげる人のことを指します。
不動産の表示
ここで記載しても間違いではありませんが、通常末尾に記載します。
【登記の原因となる事実又は法律行為】
(1)甲は乙に対し、令和〇年〇月〇日、本件不動産を贈与する意思を表示し、乙はこれを受諾した。
(2)よって、本件不動産の所有権は、同日、甲から乙に移転した。
登記の原因となる事実を記載していきます。
・誰が、誰に対し、いつ、何を贈与したか。
・所有権が移転したこと。
贈与は「契約」の1種です。
契約とは、2人以上の当事者が合意することによって、法的な権利義務関係が発生する行為をいいます。
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生じます(民法第549条)。
【不動産の表示】
所 在 川口市西青木〇丁目
地 番 ○番○
地 目 宅 地
地 積 ○○・○○㎡
所 在 川口市西青木〇丁目 〇番地〇
家屋番号 ○番○
種 類 居 宅
構 造 木造スレート葺2階建
床 面 積 1階 ○○・○○㎡
2階 ○○・○○㎡
不動産の表示は、不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して、それと同じように記載していきます。