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コラム

相続登記遺産整理遺言 2021/12/08

旧民法:家督相続と遺産相続とは?

家督相続

 


 


旧民法が適用されるケースとは?

旧民法(明治31年7月16日から昭和22年5月2日)の下では、個人より家を重視し戸主に権限を集中し、女性より男性を優先するという家督相続の制度がありました。家督相続の制度は現在では廃止されています。

しかし、明治31年7月16日~昭和22年12月31日の間に戸主に相続が発生し、相続の手続きをせずに放置されていた場合、旧民法下での家督相続や応急措置法が適用されることになります。

そのため、誰が相続人になるのか、相続分の割合はどうなるのかを考える上では、まずいつ亡くなったのか、適用される法律は何か、を確認しなければなりません

適用される法をまとめると以下のようになります。

相続が発生した日 適用法
明治31年7月16日~昭和22年5月2日 旧民法
昭和22年5月3日~昭和22年12月31日 応急措置法
昭和23年1月1日~現在 新民法

 

憲法改正により、日本国憲法は昭和22(1947)年5月3日から施行されました。
改正後の憲法は個人の尊厳と両性の平等を保障するものでした。
これにより、個人より家を重視し戸主に権限を集中したり、女性より男性を優先する旧民法が、改正後の憲法に反する状態となったため、応急的な措置を講ずる目的で新民法ができるまでの間、旧民法の代わりに応急措置法が適用されることになりました。
その後、改正後の憲法に適合するように、新しい民法が昭和23年1月1日から施行されました。

 

以下、旧民法での相続と応急措置法について解説していきます。
新民法での法定相続人、相続分については別のコラムで解説しておりますので、そちらをご覧ください。

新民法:法定代理人・法定相続分とは?

戸主権とは?

【戸主権とは?】
戸主は、家の統率者として家族に対する扶養義務を負う代わりに、主に以下のような権利を有していました。

  1. 家族の婚姻・養子縁組に対する同意権(改正前民法750条)
    ただし、離籍の制裁を覚悟するなら、戸主の同意の無い婚姻・縁組を強行することは可能(改正前民法776条但書・849条2項)
  2. 家族の入籍又は去家に対する同意権(ただし、法律上当然に入籍・除籍が生じる場合を除く)(改正前民法735条・737条・738条)
  3. 家族の居所指定権(改正前民法749条)
  4. 家籍から排除する権利
  5. 家族の入籍を拒否する権利
  6. 戸主の同意を得ずに婚姻・養子縁組した者の復籍拒絶権(改正前民法741条2・735条)
  7. 家族の私生児・庶子の入籍の拒否(改正前民法735条)
  8. 親族入籍の拒否(改正前民法737条)
  9. 引取入籍の拒否(改正前民法738条)
  10. 家族を家から排除する(離籍)権利(ただし未成年者と推定家督相続人は離籍できない)
  11. 居所の指定に従わない家族の離籍(改正前民法749条)
  12. 戸主の同意を得ずに婚姻・養子縁組した者の離籍(改正前民法750条)

 

【戸主の相続と戸主以外の相続】
旧民法下においては、戸主は、家の長として、「戸主権」というその構成員を統率する大きな権限を持っていたため、戸主の相続と戸主以外の相続の場合でも違う扱いがなされていました。

戸主の相続   →家督相続
戸主以外の相続 →遺産相続

 

以下、家督相続と遺産相続についてそれぞれ詳しく見ていきます。

家督相続

【家督相続とは】
家督相続とは、先代の戸主が亡くなった場合などに、戸主権や家の財産を次に戸主となる者が1人で承継する制度をいいます。
後述する家督相続の順位をみればわかりますが、原則として長男がすべて相続することになっていました。

 

【家督相続の発生原因】
家督相続の発生原因は以下のとおりになります。

  1. 戸主の死亡
  2. 戸主の隠居国籍喪失
    隠居とは、戸主が生存中に家長の権限,財産を次代に譲ることをいいます。
    男性が戸主の場合は満60歳になると隠居することができます。
    女戸主の場合は、年齢に関係なく隠居することができました。
  3. 戸主の去家
    去家(きょけ)とは、婚姻又は養子縁組により他家から入ってきて戸主になった者が、離婚や縁組の解消により
    家を去ることをいいます。
  4. 女戸主の入夫婚姻
    入夫婚姻とは、女戸主が婚姻し、婚姻届に夫が戸主となる旨を記載して届け出ることにより戸主権を喪失し、入夫が戸主となることをいいます。

死亡以外の事由によっても相続は発生する点が新民法と異なります。

 

【家督相続人の順位】
家督相続人の順位は以下のようになります。
第1順位の者がいない場合は第2順位の者、第1順位の者も第2順位の者もいない場合は第3順位の者が家督相続人となります。

家督相続人の順位
第1順位 直系卑属(子、孫)

直系卑属の中では、さらに優先順位が決まっています。
・第1順位 親等が近いもの優先
・第2順位 同親等に男と女がいる場合、男優先
・第3順位 同親等かつ同性に嫡出子と非嫡出子がいた場合、嫡出子優先
・第4順位 同親等に嫡出子・庶子と私生子がいた場合、たとえ嫡出子・庶子が女であっても私生子より優先

※嫡出子(ちゃくしゅつし)とは、婚姻関係にある父母の間に生まれた子のことをいいます。
※庶子(しょし)とは、非嫡出子(婚姻関係にない父母の間に生まれた子)を、父が認知した場合の認知された子のことをいいます。
※私生子(しせいし)とは認知されていない非嫡出子のことをいいます。
※上記1~4をまとめると、嫡出男子>庶子男子>嫡出女子>庶子女子>私生子男子>私生女子、となります。

・第5順位 前4つでの順位が同じなら、年長者優先

第2順位 前戸主が指定した者
第3順位 父、父が既に死亡しているときは母、父母とも死亡しているときは親族会が選定する。
※親族会とは、親族その他本人やその家に縁故のあるものの中から、裁判所によって選定された親族会員3名以上の団体ことをいいます。
第4順位 祖父、祖父が既に死亡しているときは祖母
第5順位 親族会により選定された者

 

 

【家督相続の場合の登記申請書】

 

登記申請書

登記の目的 所有権移転

原因 昭和〇年〇月〇日家督相続

相続人(被相続人 甲)

埼玉県秩父市上町〇丁目〇番地

(以下、省略)

登記原因は「年月日家督相続」となります。
日付は家督相続の開始した日です。

 

遺産相続

【遺産相続とは】
遺産相続とは、戸主以外の家族の死亡(失踪宣告も含む。)によってのみ開始する相続の制度のことをいいます。

 

【遺産相続の発生原因】
遺産相続は、家督相続と異なり、死亡(失踪宣告も含む。)によってのみ発生します。

 

【遺産相続の相続人の順位】
遺産相続の順位は以下のようになります。
第1順位の者がいない場合は、第2順位。第1順位の者も第2順位の者もいない場合は第3順位・・・と見ていきます。

遺産相続の相続人の順位
第1順位 直系卑属

親等が近い者が優先する点では家督相続と同じですが、親等が同じ者が複数いる場合は、同順位で共同相続人となります。
また、男か女か、嫡出子か非嫡出子かに関わらず相続人となります。
但し、相続分については非嫡出子は嫡出子の2分の1とされていました。

第2順位 配偶者

第1順位の者がないときには、配偶者が単独で遺産相続人となります。

第3順位 直系尊属

第2順位までの者がないときには、直系尊属が遺産相続人になります。
この場合、親等が近い者が優先し、親等が同じ者は、同順位で共同相続人となります。

第4順位 戸主

第3順位のまでの者がないときには、戸主が遺産相続人になります。

 

【遺産相続の登記申請書】

 

登記申請書

登記の目的 所有権移転

原因 昭和〇年〇月〇日遺産相続

相続人(被相続人 甲)

東京都練馬区石神井町〇丁目〇番〇号

(以下、省略)

登記原因は「年月日遺産相続」となります。
日付は死亡した日です。

 

応急措置法

【応急措置法とは】

応急措置法とは、「家」を基盤としたり女性より男性を優先する旧民法が、改正後の憲法(24条2項:個人の尊厳と両性の本質的平等)に反することとなったため、新民法施行までの間、応急的な措置として、家督相続に関する効力を停止するために制定された法律のことをいいます。

 

【応急措置法が適用される期間】
被相続人が「昭和22年5月3日から昭和22年12月31日までに死亡した場合」に適用されます。

 

【旧民法と大きく違う点】
家督相続の制度が廃止されました。

 

【応急措置法下での相続人の順位】
配偶者は常に相続人となり、その他は以下の順序により、配偶者と共に相続人となります。

相続人となれる順位
第1順位 直系卑属

親等が近い者が優先し、親等が同じ者は、同順位で共同相続人となります。
代襲相続もされます。

第2順位 直系尊属

男女の差別はなく、複数いれば共同相続人となりました。

第3順位 兄弟姉妹

新民法のと異なり、兄弟姉妹に代襲相続権はありません

 

【応急措置法下での相続分】

応急措置法下での相続分は現在の民法の相続分とは異なる規定がなされていました
比較していただければよくわかると思います。

 

現在の民法 応急措置法
配偶者:
直系卑属
2分の1
2分の1
3分の1
3分の2
配偶者:
直系尊属
3分の2
3分の1
2分の1
2分の1
配偶者:
兄弟姉妹
4分の3
4分の1
3分の2
3分の1

 

応急措置法(正式名称:日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律)も条文数が少ないので全文掲載します。

 

日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(昭和二十二年法律第七四号)

第一条 この法律は、日本国憲法の施行に伴い、民法について、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する応急的措置を講ずることを目的とする。
第二条 妻又は母であることに基いて法律上の能力その他を制限する規定は、これを適用しない。
第三条 戸主、家族その他家に関する規定は、これを適用しない。
第四条 成年者の婚姻、離婚、養子縁組及び離縁については、父母の同意を要しない。
第五条 夫婦は、その協議で定める場所に同居するものとする。
2 夫婦の財産関係に関する規定で両性の本質的平等に反するものは、これを適用しない。
3 配偶者の一方に著しい不貞の行為があつたときは、他の一方は、これを原因として離婚の訴を提起することができる。
第六条 親権は、父母が共同してこれを行う。
2 父母が離婚するとき、又は父が子を認知するときは、親権を行う者は、父母の協議でこれを定めなければならない。協議が調わないとき、又は協議することができないときは、裁判所が、これを定める。
3 裁判所は、子の利益のために、親権者を変更することができる。
第七条 家督相続に関する規定は、これを適用しない。
2 相続については、第八条及び第九条の規定によるの外、遺産相続に関する規定に従う。
第八条 直系卑属、直系尊属及び兄弟姉妹は、その順序により相続人となる。
2 配偶者は、常に相続人となるものとし、その相続分は、左の規定に従う。
 一 直系卑属とともに相続人であるときは、三分の一とする。
 二 直系尊属とともに相続人であるときは、二分の一とする。
 三 兄弟姉妹とともに相続人であるときは、三分の二とする。
第九条 兄弟姉妹以外の相続人の遺留分の額は、左の規定に従う。
一 直系卑属のみが相続人であるとき、又は直系卑属及び配偶者が相続人であるときは、被相続人の財産の二分の一とする。
二 その他の場合は、被相続人の財産の三分の一とする。
第十条 この法律の規定に反する他の法律の規定は、これを適用しない。
附 則
1 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
2 この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。

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