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コラム

相続登記遺産整理 2022/01/09

遺産の分け方には4つの型があります

遺産の分け方には4つの型があります

 


 


遺産分割をする上で考えるべきこと

遺言書がない場合、遺産をどう分けるかについて相続人間で話し合いをして決めなければなりません。

遺産分割をする上で考えるべきは以下の3つになります。

  1. 誰が法定相続人か
  2. どのような遺産があるのか
  3. どうように分けるのか

 

1.誰が法定相続人か

誰が法定相続人かは別のコラムで解説しておりますので、そちらをご覧ください。
法定代理人・法定相続分とは?
代襲相続が起きる場面とは?

 

2.どのような遺産があるのか

本人が生前に財産目録やエンディングノートを作成している場合はよいですが、作成してない場合は地道に探すしかありません。
まずは遺品の中から通帳やキャッシュカード、請求書や領収書などのお金に関わりそうな郵便物を探します。
特定の金融機関と取引があることはわかっているが、通帳が見当たらない場合は金融機関に残高証明書を請求します。
不動産であれば、まずは権利証を探します。
不動産を保有していることはわかっているが書類が見当たらない場合は役所に名寄帳を請求します。

このように相続人を代表して手続きを進めている方が大変な思いをして遺産を探すことになります。
探す上で分かったことを他の相続人に報告し、それ以上ないだろうと納得していただけたら次は遺産をどう分けるかの話し合いに移っていきます。

他方、他の相続人が「本当にこれで全部か?」「他に財産を隠しているのではないか?」と疑われるケースも稀ではありますが、実際にあります。
その場合の解決方法としては、①遺産分割協議の中に、現在判明している財産についての遺産分割協議であることを明示して「他に遺産が見つかったときは改めて遺産分割協議をする」と記載してとりあえず進める方法と、②遺産確定の訴えを提起して強制的に遺産の範囲を確定させる方法があります。
②の遺産確定の訴えの方法をとる場合、弁護士費用や手間、時間がかかるため、それに釣り合うぐらいの遺産がたくさんありそうかどうかを検討する必要があります。

 

3.どのように分けるのか
遺産の分け方には4つの型があります。

  1. 現物分割
  2. 換価分割
  3. 代償分割
  4. 共有分割

 

以下、この4つについて解説して参ります。

現物分割

現物分割とは、各相続人が、遺産をそのままの状態で分ける方法をいいます。

【現物分割の例】
①相続人が母Aと子Bの2人で、遺産が不動産(1000万円相当)と預貯金1000万円の2つである場合に、母が不動産、子が預貯金を相続する
②相続人が母Aと子Bの2人で、遺産が土地しかない場合に、土地を等価となるよう分筆してABそれぞれの単独所有とする。
③相続人が母Aと子Bの2人で、遺産が甲土地(2000万円相当)と乙土地(1000万円)の2つである場合に、母が甲土地、子が乙土地を相続する。

 

【現物分割のメリット・デメリット】

現物分割をするメリット・デメリットは以下のようになります。

メリット デメリット

最もシンプルでわかりやすい 不公平になりやすい

不動産を残すことができる
土地を分筆する場合、価値が低下する可能性がある

 

1.メリット

①最もシンプルでわかりやすい
現物分割は、基本的に「誰か1人が対象の遺産を引き継ぐだけ」なのでわかりやすいです。
たとえば長男Aが不動産、二男Bが車と動産類、長女Cが株式を相続するケースを考えてみましょう。
ABCそれぞれが名義変更をすれば、手続きが終わります。

②不動産を残すことができる
全員で共同して財産を売却することなく相続人が引き継ぐことができます。

 

2. デメリット

①不公平になりやすい
現物分割によって公平に分けることができるのは、自由に調整できる預貯金の割合が大きい場合や、相続財産の数がたくさんある場合に限ります。
例えば、相続人がAB2人で、1000万円相当の不動産と預貯金2000万円がある場合は、相続人Aに不動産と預貯金500万円を分け、相続人Bに1500万円を分けることができます。しかし、預貯金が200万円しかない場合は、片方が800万円分少ない分け前しか受け取ることができません。

②土地を分筆する場合、価値が低下する可能性がある
主な遺産が土地しかない場合に、土地の分筆して相続人にそれぞれ分けることも可能です。
分筆とは、1つの土地をいくつかに分割し、それぞれ登記することをいいます。
しかし、土地が細かくなりすぎるなどの事情で、使いづらい土地になり、共有物の価値が著しく減少してしまうケースがあります。
例えば、土地が小さくなるため、建ぺい率・容積率によっては増改築ができなくなることもあります。また、分筆後の土地の接道部分が2m未満になり、建築基準法の接道義務が満たされない場合は、建築してはならない土地となってしまいます。そうなると、不動産の価値が著しく低下してしまうことになってしまうのです。

【現物分割が向いているケース】
現物分割が向いているケースは主に以下の2つの場面になります。

  1. 預貯金・現金の割合が多いケース
  2. 相続財産の数が多いケース

 

財産を分ける際、預貯金・現金の割合が多ければ金額を調整できるため現金以外の財産をそのままの形で分けても不公平になることもありません。
また、相続財産の数が多ければ、ぴったりとはいえなくても希望どおりの割合で分けることができるからです。

換価分割

換価分割とは、相続財産を売却して、売却代金を相続人間で分け合う遺産分割の方法をいいます。

【換価分割のメリット・デメリット】

換価分割をするメリット・デメリットは以下のようになります。

メリット デメリット
現金にするため、公平に分けることができる 売却が完了するまで時間がかかる
不動産の維持管理の義務から解放される
売却時の手数料などにより、相続財産が減少する

 

1.メリット
①現金にするため、公平に分けることができる
1円単位で調整できるので、希望どおりに遺産を分けることができます。

②不動産の維持管理の義務から解放される
換価分割すると、不動産など相続財産を売却してしまうので、相続人の手元からは失われます。
すると、その後は不動産など相続財産の維持管理が不要になって手間が省けますし、固定資産税などの負担もなくなります。

2.デメリット
①売却の手続きが完了するまで時間がかかる
不動産を第三者に売る場合などは、不動産業者に依頼して買い手が見つかるまで待たないといけません。
不動産の立地や建物の状態によっては時間がかかることも想定しておく必要があります。

②売却時の手数料などにより、相続財産が減少する
不動産を第三者に売る場合だと、不動産業者の手数料や司法書士の報酬、登録免許税といった費用が必要となるため、その分財産が減少することになります。

【換価分割が向いているケース】
換価分割が向いているケースは主に以下の2つの場面になります。

  1. 相続人のうち誰も不動産の取得を望まないケース
  2. 相続税を支払う必要があるが納税資金が不足しているケース

 

【換価分割の際にかかる税金とその注意点】
換価分割の際にかかる税金として考えられるのは①登記申請時にかかる登録免許税、②不動産売買契約書に貼る印紙税、③不動産を買ったときよりも売ったときの金額の方が高い場合にかかる譲渡所得税があります。

このうち譲渡所得税については注意が必要です。
譲渡所得税は不動産を買ったときよりも売ったときの金額の方が高い場合にかかる税金です。
譲渡所得税は「【売却価格-(取得費+譲渡費用)】×譲渡所得税率」により算出されます。
このうち「取得費」について、亡くなった方が不動産を買ったときの金額がわかる資料を紛失してしまっていることも多いのです。
買った時の資料がない場合は売った金額の5パーセント相当額を取得費として計算することになります。
そのため、亡くなった方が不動産を取得したときの売買契約書や領収書を保管していない場合は「不動産を売って得られた代金の95%の金額-譲渡費用」に対して譲渡所得税がかかることになってしまうのです。

また、亡くなった方が自宅で一人暮らしをしていた場合は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができるという空き家特措法の適用の可能性があります。
空き家特措法が適用される条件などについては国税庁のホームページで確認することができます。
国税庁 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

代償分割

代償分割とは、ある相続人が不動産を取得し、他の相続人に相続財産以外の「代償金」を支払って清算する方法です。

【代償分割のメリット・デメリット】

代償分割をするメリット・デメリットは以下のようになります。

メリット デメリット

不動産を残すことができる 代わりに渡せる財産がないとできない

相続人間の公平性を保てる
相続税の納税資金を別途用意する必要がある

 - 遺産の価格評価で揉める可能性がある

1.メリット

①不動産を残すことができる
代償分割のメリットの一つは、家族が残した大切な資産をそのままの形で受け継いで残せることです。
代償として渡せる資産があり、納税資金の確保に関しても問題がなければ、先祖代々受け継がれてきた大切な資産を手元に残せる代償分割を選択すると良いでしょう。

②相続人間の公平性を保つことができる
代償財産の受け渡しによって受取額を調整できるので、相続人同士の公平性を保つことができます。
不動産が遺産に含まれるケースでは、現物分割を選択すると相続人ごとに受取額がどうしても偏って差が出てしまいます。

2. デメリット

①代わりに渡せる財産がないとできない
代償分割では、もらう遺産とは別に渡せる自分の財産を持っていることが前提です。
例えば、相続人が2人で、片方が2000万円相当の不動産をもらう場合、もう片方の相続人に1000万円の現金を渡す必要があります。
1000万円をすぐに準備できるのであればよいのですが、手持ちの現金が不足する場合は分割払いにするなどの対策を考えなければなりません。
代償財産を用意できなければ、代償分割は無理なので別の分割方法を検討する必要があります。

②相続税の納税資金を別途用意する必要がある
代償分割では、現物で遺産を受け取った人は納税資金を別途用意する必要があります。
換価分割のように、資産を売却して納税資金に充てられるわけではありません。
代償として他の相続人に渡す財産と合わせて、相続人自身が現金などの資産を相当持っていないと代償分割はできません。

③遺産の価格評価で揉める可能性がある
代償分割を選択して土地や建物を特定の相続人が受け継ぐ場合、不動産の価格が問題となります。
不動産の価値の評価の方法は、相続税評価額や時価、家賃収入などの期待収益を考慮に入れて評価する方法などさまざまです。
相続人の間で評価額の意見が分かれてしまうと、代償をいくら渡すべきなのかも決まらず揉める可能性があります。

【代償分割の際にかかる税金とその注意点】
1.贈与税
まず贈与税についてですが、遺産分割協議書に「代償分割により代償金を支払う」ときちんと記載しておけば贈与税は課税されません。

2.譲渡所得税
次に譲渡所得税についてですが、代償として現金ではなく不動産を渡す場合で、かつ取得した金額よりも高い金額で渡す場合は譲渡所得税の対象になります。
譲渡所得税は「【売却価格-(取得費+譲渡費用)】 × 譲渡所得税率」により算出されます。
このうち「取得費」について、買った時の資料を紛失している場合は売った金額の5パーセント相当額を取得費として計算することになります。
そのため、代償財産をわたす側の人が不動産を取得したときの売買契約書や領収書を保管していない場合は「不動産を売って得られた代金の95%の金額-譲渡費用」に対して譲渡所得税がかかることになってしまうのです。
なお、自分が住んでいた不動産を渡す場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用される可能性があります。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例が適用される条件などについては国税庁のホームページで確認することができます。
国税庁 マイホームを売ったときの特例

3.相続税
相続財産の評価額が基礎控除額を超える場合は相続税が発生します。
相続税の課税価格の算定においては、代償金額も考慮する必要があります。
代償金を払った人は代償金額を引き、代償金を受け取った人は代償金額を加えて計算することになります。

共有分割

共有分割とは、遺産の全部又は一部を複数の相続人で共有で相続することをいいます。

【共有分割のメリット・デメリット】

共有分割をするメリット・デメリットは以下のようになります。

メリット デメリット

相続人間の公平性を保てる 一人では共有不動産の売却等ができない

将来売却したとき、マイホーム特例が共有者の数だけ適用される
相続人が亡くなると権利関係が複雑になるおそれがある

 

1.メリット

①相続人間の公平性を保つことができる
代償財産の受け渡しによって受取額を調整できるので、相続人同士の公平性を保つことができます。
不動産が遺産に含まれるケースでは、現物分割を選択すると相続人ごとに受取額がどうしても偏って差が出てしまいます。

②将来売却したとき、マイホーム特例が共有者の数だけ適用される
不動産を売却して利益が生じた時には譲渡所得税を支払う義務があります。
居住用財産を売却した時には、譲渡所得(売却価格-諸費用)から最高3,000万円を控除できる特例があります。
この特例は控除が1人あたり3,000万円なので、共有者の数だけ譲渡所得税を軽減することができます。
2. デメリット

一人では共有不動産の売却等ができない
将来、共有名義の不動産を売却しようと思ったとき、共有者全員の同意が必要になります。
1人でも揉めると売却が困難となってしまいます。

②相続人が亡くなると権利関係が複雑になるおそれがある
例えば、始めは相続人が3人であったが、その後そのうちの誰かがお亡くなりになるとその人の相続人が所有者となり、その後も相続が発生するたびに所有者が増え、権利関係が細分化されていくことになります。
最初の相続では問題が無かった権利関係が、所有者が増える事で複雑になり、売却の際に意見がまとまらなくなる可能性が高くなってしまいます。

【共有分割に向いているケース】
共有分割が向いているケースは主に以下の2つの場面になります。

  1. アパートや駐車場などの収益物件があるケース
  2. 一緒に住んでいるケース

 

アパートや駐車場などの収益物件があるケースでは、将来得られるであろう賃料を正確に算定することが不可能であるため、共有名義にしておきその割合で今後賃料をもらい続ける方が最も公平な分け方になります。
また、一緒に住んでいるケースでは共有名義にしておけば今後固定資産税などの維持費を平等に負担していくことができます。

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