相続放棄の流れと必要書類
目次
相続放棄の流れ
相続放棄の申立てから申述受理証明書を取得するまでの手続きの流れは以下のとおりとなります。
- 必要書類の収集
- 相続放棄の申立て
- 照会書・回答書の通知
家庭裁判所から相続放棄の申述をした本人に照会書・回答書が郵送されます。 - 相続放棄申述受理通知書の通知
回答書に問題がなければ、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。 - 相続放棄受理後に相続放棄申述受理証明書(1通150円)を請求
証明書の申請は相続放棄が受理した後でなければ受け付けてくれないため、別途、証明書を請求します。
【かかる期間の目安】
必要書類の収集に1週間~1か月程かかります。
通常、申し立てから相続放棄申述受理証明書が発行されるまで約1か月程かかります。
【申立先】
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
死亡時の住所がどこかわからなければ、遺言者の住民票の除票(又は戸籍の附票の除票)を見れば確認できます。
管轄する裁判所がどこかは裁判所のホームページで確認できます。
管轄する裁判所を調べたい方はこちら
【申立てができる人】
- 原則:相続放棄をする本人
- 本人が重度の認知症の場合:成年後見人
- 本人が未成年者の場合:親(親権者)
但し、子だけ相続放棄をして親は相続放棄をしない場合は、特別代理人を選任しなければなりません。
特別代理人について知りたい方はこちら
【申立ての手数料】
収入印紙:遺言書1通につき800円
予納郵便切手:管轄の家庭裁判所によって異なるため、電話や裁判所のホームぺージにより確認する必要があります。
例:さいたま家庭裁判所の場合
・84円切手(相続放棄をする人数×5)枚
・10円切手(相続放棄をする人数×5)枚
参考:さいたま家庭裁判所 予納郵券代一覧(令和5年10月版))
例:東京家庭裁判所の場合
・84円切手(相続放棄をする人数×4)枚
・10円切手(相続放棄をする人数×4)枚
参考:東京家庭裁判所 予納郵券代一覧(令和5年10月版)
【郵送の可否】
相続放棄申述は郵送でも可能です。
相続放棄の必要書類
家庭裁判所に相続放棄の申述をする際には、次のような書類が必要となります。
- 申述書
裁判所のホームページから以下の書式をダウンロードすることができます。
相続放棄申述書(Word形式)
相続放棄申述書(申述者が未成年者の場合、PDF形式)
相続放棄申述書(申述者が成人の場合の記載例、PDF形式) - 被相続人の住民票の除票(又は戸籍の附票の除票)
- 相続人であることを明らかにする戸籍
「相続人であることを明らかにする戸籍」は以下のとおり相続人が第何順位の相続人かにより異なります。
・
【第1順位の相続人の場合】
例:相続人が配偶者と子供のとき
①被相続人の死亡の記載のある戸籍
※この場合、被相続人の出生まで遡る必要はありません。
②相続放棄をする方の現在戸籍(発行後3か月以内のもの)
※1通の戸籍に①と②両方の記載がある場合、1通で足ります(重複分は不要)。
・
【第2順位の相続人の場合】
例:相続人が配偶者と両親のとき
①被相続人の死亡から出生まで遡れる戸籍すべて
②被相続人に子供(及びその代襲者)がいたが既に死亡している場合、その子(及びその代襲者)の死亡から出生まで遡れるすべての戸籍
③相続放棄をする方の現在戸籍(発行後3か月以内のもの)
・
【第3順位の相続人の場合】
例:相続人が兄弟のとき
①被相続人の死亡から出生まで遡れる戸籍すべて
②被相続人に子供(及びその代襲者)がいたが既に死亡している場合、その子(及びその代襲者)の死亡から出生まで遡れるすべての戸籍
③両親及び祖父母の死亡の記載のある戸籍
※両親・祖父母の戸籍は出生まで遡る必要はありません。
④相続放棄をする方の現在戸籍(発行後3か月以内のもの)
・ - 上申書
上申書は、被相続人の死亡日から3か月経過している場合にのみ必要となります。 - 原本還付申請書
戸籍の原本還付を希望する場合にのみ必要となります。但し、原本還付をしてくれない家庭裁判所もあるため、事前に確認する必要があります。
提出した戸籍は返してくれるの?
提出した書類を返してくれることを「原本還付(げんぽんかんぷ)」と呼びます。
戸籍を原本還付してくれるかは、裁判所によって扱いが異なります。
原本還付を希望する場合は、管轄の家庭裁判所のホームページや電話で確認する必要があります。
例:東京家庭裁判所の場合、原本還付できない。
例:さいたま家庭裁判所の場合、原本還付できる。
例:横浜家庭裁判所の場合、原本還付できる。
申述後、家庭裁判所から送られてくる照会書・回答書って何が書かれているの?
家庭裁判所が相続放棄照会書・回答書を送ってくるのは、相続放棄の申述を本当に相続人が自分の意思で行ったか確認するのが主な目的です。
以下、当事務所が実際に受けた案件での回答書・照会書を掲載します。
被相続人が亡くなってから3か月経過しているケースになります。
(個人が特定できる情報の記載がある部分は黒く塗り潰しています。)
※照会書・回答書の書式は管轄の家庭裁判所ごとに異なります。
【注意点】
特に大事な点が2つあります。
①押印する印鑑
照会書にも記載されていますが、回答書に押す印鑑は相続放棄申述書に押した印鑑と同じ印鑑を使わなければなりません。
もし、違う印鑑で押印してしまうと後日裁判所から連絡がくる可能性がでてきてしまいます。
②相続の開始を知った日
原則として相続の開始を「知って日から」3か月間以内に相続放棄の申述をしなければならないため、申述した日が相続開始を知った日から3か月以内になっているか確認する必要があります。
相続放棄申述受理証明書が必要なケースと取得方法について
1.相続放棄申述受理証明書が必要なケース
通常、裁判所から届いた「相続放棄申述受理通知書」のコピーを提示することで十分なケースが多いです。
相続登記においても、相続放棄申述受理証明書の他、「相続放棄申述受理通知書」で大丈夫です。「相続放棄申述受理通知書」の原本とコピーを添付して、登記完了後に原本は還付してくれます。
しかし、金融機関などの債権者から通知書ではなく証明書を提出してほしいと要求される場合があります。
この場合は相続放棄申述受理証明書を取得する必要があります。
2.通知書と証明書の違い
相続放棄受理通知書は相続放棄が裁判所に受理された時点で1通必ず発行されます。
ただし、この通知書は再発行できません。
これに対し、相続放棄申述受理証明書は1通150円を払えば何通でも取得できます。
証明書はこちらから請求しないと発行してくれません。
3.取得の仕方
【提出先】
相続放棄の申述が受理された家庭裁判所
【手数料】
1通150円
申請書に収入印紙を貼ります。
【必要書類】
裁判所に本人が直接窓口に出向く場合に必要な書類は以下の4つです。
②収入印紙(1通につき150円)
③身分証明書(運転免許証、健康保険証など)
④相続放棄申述受理通知書(原本)
※利害関係人(他の相続人、債権者)が請求する場合は、「利害関係がわかる書類」も必要になります。例えば、債権者なら金銭消費貸借契約書、他の相続人なら相続関係がわかる戸籍
※郵送でも請求できます。郵送の場合は相続放棄申述受理通知書はコピーで足ります。返信用封筒も必要になります。
※申請書は裁判所のホームページから以下の書式をダウンロードできます。
相続放棄申述受理証明書の申請書(PDF)
相続放棄申述受理証明書の申請書(記載例、PDF)
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