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コラム

相続税 2022/01/22

相続税の計算方法を解説【初心者向け】

相続税の計算方法

相続税額の計算方法

相続税額の計算は次の6つのステップにより計算されます。

  1. 相続財産を調べ、課税価格を出す。
  2. 基礎控除額を引く。
  3. 法定相続分で分ける。
  4. 相続税率をかけて相続税の総額を出す。
  5. 実際の相続割合で相続税の総額を分ける。
  6. 各種税額控除を引き、加算額を加える。

 

以下、6つのステップを順に解説いたします。

ステップ1:相続財産を調べ、課税価格を出す。

まず、相続財産を調べ、課税価格を出す。

【課税価格の計算方法】

課税価格=相続財産+みなし相続財産-非課税財産-債務、葬儀費用

 

1.相続財産

相続財産(プラスの財産)とは以下のようなものがあります。

  • 現金、預貯金
  • 不動産
    自宅やその土地、貸家、店舗、田畑、山林など
  • 有価証券
    株式、公社債、投資信託など
  • 債権
    貸付金、売掛金など
  • その他
    ゴルフ会員権
    特許権
    著作権(本の印税など)
    電話加入権
    宝石・絵画・骨董品などの動産

 

2.みなし相続財産

みなし相続財産とは、被相続人の財産ではないにも関わらず相続税の課税対象となるものをいいます。
みなし相続財産に該当するものは以下のようになります。

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 死亡前3年以内に贈与された財産
  • 相続時精算課税による贈与財産
  • 弔慰金
  • 生命保険契約に関する権利
  • 特別縁故者へ遺贈した財産
  • 低額譲受によって得た利益
  • 公益法人から受ける利益

 

3.非課税財産

相続財産の中にも、社会政策的な見地、国民感情などから課税対象とされない財産があります。
非課税財産には次のようなものがあります。

  • 日常礼拝に使っているもの
    墓地・墓石・仏壇・仏具など
  • 生命保険・退職手当金の非課税枠
    非課税枠=法定相続人の数×500万円
  • 損害賠償金
    被害者である被相続人が死亡した場合など
  • 寄附金
    相続税の申告の期限までに国や公共団体、公共法人に寄附した場合

 

4.債務、葬儀費用

  • 借金
    カードローン、住宅ローンなど
  • 未払い金
    医療費や税金など
  • 葬式費用(※)

 

※葬式費用に該当するもの

  • 葬式や葬送に際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
  • 遺体や遺骨の回送にかかった費用
  • 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
  • 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
  • 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用

※葬式費用に該当しないもの

  • 香典返しのためにかかった費用
  • 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
  • 法事(初七日、四十九日)にかかった費用
ステップ2:基礎控除額を引く。

相続財産が一定の金額以下なら相続税は発生しない、とされる非課税枠があります。
これを「基礎控除」と呼んでいます。

【基礎控除額の計算方法】

相続税の基礎控除額
「3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )」

 

全国の相続の件数のうち、基礎控除額を超えるのは約8%にとどまります。
約92%の人は相続税が発生しないのです。
相続税が発生しない場合、相続税の申告も不要となります。

法定相続人が誰になるのかについては別のコラムで解説しておりますので、そちらをご覧ください。
法定代理人・法定相続分とは?

【法定相続人の数を数えるときの注意点】
民法と異なる相続税法特有の注意点としては2つあります。

  1. 養子の数
  2. 相続放棄

 

1.養子の数

相続税の計算において、法定相続人の数に加算する養子の数には制限があります。

  • 実子がいる場合・・・養子1人まで
  • 実子がいない場合・・養子2人まで

 

2.相続放棄

相続放棄をすると、法律上は初めから相続人ではなかったことになります。
しかし、相続税の計算においては相続放棄をした人も法定相続人の数に入れることになっています。

ステップ3:法定相続分で分ける。

実際に課税される遺産の総額が計算できれば、相続人全員で納める相続税の総額を計算します。

相続税の総額は「一旦法定相続人が法定相続分どおりに相続した」と仮定して計算されます。
その理由は、実際に誰が相続するかにより相続税の総額が変わらないようにするためと言われています。

法定相続分ついては別のコラムで解説しておりますので、そちらをご覧ください。
法定代理人・法定相続分とは?

ステップ4:相続税率をかけて相続税の総額を出す。

相続税の総額の計算ができれば、次に相続税率をかけて相続税の総額を出します。

実際の計算に当たっては、法定相続分によりあん分した法定相続分に応ずる取得金額を下表に当てはめて計算し、算出された金額が相続税の総額の基となる税額となります。

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7200万円

 

この速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額になります。

 なお、平成26年12月31日以前に相続が開始した場合の相続税の税率は上記と異なります。

ステップ5:実際の相続割合で相続税の総額を分ける。

相続税の総額を出した後は、実際の相続割合で相続税の総額を分けていきます。

法定相続分どおりに分ける場合は法定相続分の割合で、遺言書や遺産分割協議により法定相続分以外の割合で相続させる場合はその割合で相続税の総額を振り分けます。

ステップ6:各種税額控除を引き、加算額を加える。

ステップ5で計算した各相続人等の税額から各種の税額控除額を差し引いたり、加算額を加えた残りの額が各人の納付税額になります。

一、差し引くもの

まず、差し引く税額控除には以下のようなものがあります。

  1. 配偶者控除
  2. 贈与税額控除
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除

 

1.配偶者軽減

配偶者が相続する場合、「法定相続分」又は「1億6000万円」のいずれか高い金額まで相続税がかかりません。

2.贈与税額控除

既に納めた贈与税の分を差し引くことができます。
暦年課税の場合、死亡から3年前までの贈与に対し既に納めた贈与税の金額を差し引きます。
相続時精算課税制度を利用した場合も、2500万円を超えた分の贈与に対して支払った贈与税の金額を差し引きます。
これは2重課税を避けるためです。

 

3.未成年者控除

未成年者控除が適用されるのは
①法定相続人であること、
②相続開始時に未成年者であったこと、
③日本国内に住所を有すること
の3つの条件に該当する場合です。

未成年者とは20歳以下の者をいいます。
※令和4年4月1日より未成年者は18歳未満に改正されます。

【未成年者控除額の計算方法】

10万円×(20-当時の年齢)

※当時の年齢は、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

4.障害者控除

障害者控除が適用されるのは
①法定相続人であること、
②相続開始時に85歳未満の障害者であったこと、
③日本国内に住所を有すること
の3つの条件に該当する場合です。
控除額は障害者の区分により変わります。

【障害者控除額の計算方法】

  • 一般障害者
    10万円×(85-当時の年齢)
  • 特別障害者
    20万円×(85-当時の年齢)

※当時の年齢は、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。

※特別障害者に該当する人

  • 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者
  • 児童相談所等の判定により知的障害者とされた者のうち重度の知的障害者とされた者
  • 精神障害者保健福祉手帳の障害等級が一級である者
  • 身体障害者手帳の障害の程度が1級又は2級である者
  • その他一定の者
    詳しくは障害者の規定(国税庁)を確認してください。

5.相次相続控除

相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)は、10年以内に2回相続が発生した人に適用されます。

【相次相続控除額の計算方法】
2次相続までの期間について、1次相続時に収めた相続税額に、1年ずつ10%減額した金額

2次相続までの期間が短いほど控除額が高くなるようになっています。

 

6.外国税額控除

国外にある財産を相続により取得した場合、外国でも相続税のような税金を支払う可能性があります。
既に外国で相続税に相当する税金を支払っている場合は、相続税から一定の金額を差し引くことができます。

【外国税控除の計算方法】
「外国で支払った相続税に相当する税額」と、「日本の相続税額×国外財産の金額÷相続財産の総額」のいずれか少ない金額

 
二、加算するもの

次に、相続税額を2割加算する場面があります。

相続税額の2割加算とは、故人の配偶者、子、両親、代襲相続人である孫以外の人が遺産を相続したときに相続税が2割加算される制度です。
なぜ2割加算されるかというと、本来、親→子→孫と相続されるところ、意図的に親から孫に直接相続させることによって相続税の課税を1回減らすこともできます。しかしそれではあまりに他の納税者と不均衡が生じてしまう、ということで法律上調整を図ったとされています。

【2割加算の対象にならない人】
・配偶者
・1親等の親族(父母・子)
・代襲相続人である孫

【2割加算の対象となる人】
上記以外の人。
例えば
・兄弟姉妹
・祖父母
・代襲相続人でない孫
・その他親族でない人

 

計算の具体例

事例
夫が亡くなり、妻と子2人(共に成人で障害者でもない)が法定相続人となり、遺産分割協議の上で妻が60%、子がそれぞれ20%ずつ相続することに決めたケース。
相続財産は不動産(評価額4000万円)と預貯金1800万円の合計5800円。

相続人3人のケース

6つのステップの順番どおりに計算します。

計算方法 今回のケース
ステップ1 課税価格を出す。 5800万円
ステップ2 基礎控除額を引く 5800万円-4800万円=1000万円
ステップ3 法定相続分で分ける。 ・妻A:1000万円×2分の1=500万円
・子B:1000万円×4分の1=250万円
・子C:1000万円×4分の1=250万円
ステップ4 相続税率をかけて相続税の総額を出す。  ・妻A:500万円×10%=50万円
・子B:250万円×10%=25万円
・子C:250万円×10%=25万円
合計100万円
ステップ5 実際の相続割合で相続税の総額を分ける。 ・妻A:100万円×60%=60万円
・子B:100万円×20%=20万円
・子C:100万円×20%=20万円
ステップ6 各種税額控除を引く。 ・妻A:0円
※妻には配偶者控除が適用され1億6000万円までは相続税がかからない。
・子B:20万円
・子C:20万円

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