法定相続情報証明制度により相続手続はどう変わる?
相続手続きがより簡単になる。 時間短縮につながる。
法定相続情報証明制度とは?
従来のやり方と何が変わるのか?
法定相続情報証明制度とは、「法定相続人は誰か?」を一覧図にし、法務局の認証文を得ることで、その後の手続きにおいて戸籍の代わりにその紙を出せば足りるとする制度のことをいいます。
従来の相続手続きのやり方では、法務局や銀行、税務署などの窓口に戸籍の束をそれぞれに提出する必要がありました。
銀行などの各機関においても、それぞれで戸籍の読み取り作業をしていただくことになるため、銀行側に大変な負担となり、時間がかかる原因になっていたことが問題視されるようになっていたのです。
そこで平成29年にできたのが法定相続情報証明制度です。
予め法務局に申出書と戸籍等を提出し、一覧図に認証文をもらうことで、その後の相続登記、預貯金解約、自動車の名義変更、税務署での申告の際に戸籍の束を提出する必要がなくなり、時間が短縮することが可能になりました。
法定相続情報証明制度を利用すべきケースとは?
メリットとデメリットから考えてみよう。
【メリット】
メリットとしては主に4つあります。
- 手数料が無料であること
- 5年間何度でも再発行可能であること
これにより、認証文をもらった後、戸籍を紛失しても5年間は問題ないことになります。 - 登記官が戸籍を確認してくれること
これにより、銀行などの窓口で戸籍の不備を指摘されることがなくなります。 - 各機関での手続きの時間が短縮できること
相続税の申告が後に控えている場合や、早く現金化したい場合には大きなメリットとなります。
【デメリット】
デメリットとしては主に3つあります。
- 戸籍の収集を1度は行わなければならない点に変わりはないこと
- 法務局から認証文をもらうのに1週間~10日程かかること
- 専門家に依頼する場合、報酬額がかかること
但し、相続登記と一緒に依頼される場合は安くなります。
【利用すべきケース】
以上のメリット・デメリットから、利用すべきケースとして以下の3つが挙げられます。
- 相続税がかかるケースで、相続税の申告期限を守るため早く手続きを済ませたい場合
- 相続税はかからないが、何らかの事情で早く現金化したい場合
- 相続登記は依頼するが、預貯金の解約は自分自身で行いたい場合
【利用する必要がないケース】
これに対し、利用する必要がないケースとしては以下の2つが挙げられます。
- 相続税がかからないケースで、特に急ぎの事情がない場合
- 各機関の窓口が1~2か所しかない場合
例えば、預貯金をA銀行にしか預けていなかった場合
このように、法定相続情報証明制度のメリットが活かせる場面と活かせない場面があるため、もし検討されている方がおられましたら、1度はご相談してみることをお勧めいたします。
関連記事