相続放棄をする上での注意点
相続財産を処分すると相続放棄ができなくなります。
気を付けなければいけない「処分」とは?
相続人には,相続をするかしないかの選択権が認められています。
相続をしないという選択をする場合、相続放棄の手続きをする必要があります。
ただし、遺産を「処分」してしまうと相続放棄をすることができなくなってしまいます。
「処分」するということは、自分のものであることを認める行為となってしまうからです。
処分行為例
- 家屋の取り壊し
- 預金の引き出し
- 不動産の売却
- 不動産に抵当権の設定する行為
「処分」には当たらない行為
法律上、保存行為と短期賃貸借は「処分」には当たりません。
- 保存行為
保存行為とは、財産の価値を現状のまま維持するために必要な行為のことをいいます。
例えば、相続財産である建物の不法占拠者への明渡請求や、不法に登記名義を有する第三者への抹消請求をする行為などが該当します。
※ちなみに被相続人の固定資産税を支払う行為は保存行為には当てはまらないので、相続放棄できなくなります。 - 短期賃貸借
短期賃貸借とは、民法602条に定める期間を超えない賃貸借のことをいいます。
・山林の賃貸借の場合、10年
・山林以外の土地の賃貸借の場合、5年
・建物の賃貸借の場合、3年
・動産の賃貸借の場合、6か月
相続放棄後に注意すべきこととは?
相続放棄をした後に、相続人が相続財産の全部または一部を「隠匿」「消費」したときは相続を承認したとみなされてしまいます。
「隠匿」とは、相続財産を隠してしまうことをいいます。
「消費」とは、被相続人に対する債権者の利益を害することを知ったうえで、相続財産を消費することをいいます。
上記の行為は被相続人の相続債権者に対する背信的行為となるため、相続を承認したとみなされてしまいます。
最後に
以上、相続放棄をする上で気を付けるべき「処分」について説明してきましたが、何が「処分」に当たるかは法律上明確に規定されているものではありません。
もし、相続放棄を検討されるのであれば、専門家に1度はご相談されることをお勧めいたします。